病床で越年

 インフルエンザに罹患して、大晦日から1月4日まではずっと寝ていた。
 29日にはまったく元気で、パチンコに行ったり艶っぽいDVDを見たりしてエヘラエヘラしていたのだが、30日には「風邪かな」っていう症状が出始め、大晦日から発熱、元日から欠勤して、夜間休日医療センターへ。タミフルを処方された。
 頭痛、関節痛、その他諸症状はどれも酷かったのだが、特に悪寒が強烈で、何枚布団を重ねようと、身体の芯から、痛みの混じった凍えに襲われた。骨という骨が冷えた金属の棒になった様で、すべての肉が付いている感覚がなかった。
 朦朧とした意識で、かすかに除夜の鐘を聞いた。大晦日は例年、泊まりで仕事か、家に居てもリビングなので、我が家で除夜の鐘が聞こえるのは知らなかった。思えば、近所に小さな寺があった。テレビの「ゆく年くる年」なんかで聞くような大寺院の荘厳な音ではなく、ゴーンというよりもカーンという感じであった。この町に古くからある寺ではあるのだろう。
 年始に家に居ることなど、結婚してから初めてのことではあるが、インフルエンザはいいものではない。そんな苦しみの中では、再び飛び跳ねたり踊ったりする自分を想像することすらもできず、天気予報は雪だったので、降っていないかと何度も妻に尋ねた。病床はやはり八尺程度。
 3日あたりからやっと熱が下がり、徐々に人間らしく快復してきて、現在に至る。
 予防接種は2日くらい身体がだるくなるが嫌で、今年は打たなかったが、やはり備えがなければ災いは訪れるのである。
 実家に帰る予定であった妻には申し訳ないことをした。休日料金で医療費も高くついた。元気になったらまた殴られた。