FEVER ソウルフラワーユニオン

 この前梅田AKASOにてソウルフラワーユニオンのライヴに行って来た。
 その前に、ついつい倉敷駅前のパチンコ屋に寄ってしまって一勝負。
 久々の日本橋で買いたいものが沢山あった。無論、手持ちの金が減るリスクは大きいのだが、とりあえずディランとフーの来日時のブートレッグを買えるだけの金さえ残しておけば、後はイチかバチかオール・オア・ナッシングだ。
 店内を見廻すと、出ている客も多い。今日はいい日だ。
 「FEVER X JAPAN」という機種があった。X JAPANというバンドとタイアップした機種だ。新しい台なので狙い目かもしれないが、その機種についての知識はないので、演出などの信頼度も分からないし、X JAPANも全然好きではないので、横目で見るだけで、勝手知ったる「ヱヴァンゲリオン-はじまりの福音」の台に座った。
 ヱヴァを打ちながら「FEVER ソウルフラワーユニオン」なんて機種があれば、面白いなあなんて考えた。リーチ予告でヒデ坊が三板を持っていたら激アツだとか、リーチになったら「殺人狂ルーレット」が流れるとか。中川や奥野の図柄が回るルーレットを想像した。是非ともミホちゃんで合わせたいものだ。
 しかし、パチンコファンとユニオンファンの人口比率を考えたら、ソウルフラワー台の導入はないか、と思い直した。長田区とかごく地域限定では受けるかもしれんが。確変中はモノノケサミットになる、とかね。「FEVER ソウルフラワーユニオン」があるなら「FEVER ヒートウェイヴ」や「「FEVER グルーヴァーズ」なんてのもあってもいいのじゃないか。山口がブズーキを持っていたら激アツとかね。
 その時はそんなことを面白おかしく考え、是非ともブログに書こうと思ったが、実際書いてみると面白くもなんともないな、はあ。
 「あーら、お入いんなさい」と鼻歌を心の中で唄いながら、そんな思考もリーチの度に中断され、ついに確変で揃い、何も考えられなくなる。
 しかし、パチンコって恐ろしい遊戯だね。玉が釘の間をバウンドして落ちて行くのや強い光や音を、期待に胸をドキドキさせながら受容するわけで、そりゃ催眠状態になる。そんなボーっとした状態で大当たりの記憶が刻み込まれるのだから依存症にもなる。これは多分、社会の害悪だ。明日からパチンコ排斥運動でも始めようかな、タバコが排斥されつつあるように。しかしラウンド中は吸う本数も増えるわ。旨いんだなこれが。兎に角、今はこのままずっと確変が続いて欲しい。
 そんなうちに当初の予定より2時間も遅くなってしまった。これでは折角軍資金が増えても肝心の買い物ができない。もういいのだ、連チャンしなくて。早く出発せねば、でも確変が続いて欲しいというアンビヴァレントな気持ちに揺れる。滅多にパチンコはしないのでこんなに大勝ちしたのは初めての経験だ。やっとというかついにというか、時短も終わってしまった。結局何連チャンしたのか忘れたが10箱出した。
 玉を計数してくれた店員さんに「姉ちゃん、遊ばせてもらったぜ、ありがとよ」と町田康の小説の主人公風に言って、換金所へ。元手が5,000円のところから46,000円の勝ち。
 食事をする時間がなくなったので駅のコンビニでサンドウィッチを買って連休初日の満員の新幹線で立ったまま食べた。
 新大阪を経て難波から日本橋へついに到着。しかしパチに時間を食われたせいであまり時間がない。折角懐があったかいのだが、買い物を楽しむ時間的余裕はなく、ホビーショップはほぼ素通り。ギリギリのところでやっとフーの来日@城ホール盤だけはGET。
 そして、梅田へと急いだ。AKASOまで一発で行けるかどうかは微妙だ。早めに行っておくに越したことはない。で、TSUTAYAを発見したので、一安心。腹ごしらえにラーメンを食す。店は満席近く、盛況であるのだが、美味くもなければ不味くもない。食べるという以上の意味はない。結局ちょっと早めに会場に入った。
 ロク友のeさんに遭遇し、明日AKASOでヒートウェイヴだと知った。ノーチェックだった。ユニオンは翌日京都磔磔であり、多少とも共通するであろうファンを関西圏で奪い合うようなブッキングだなと心配になった。翌日も関西にいる予定ではあるので、ヒートウェイヴも観ようと思えば無理すれば観られないこともない。熱烈なヒートウェイヴファンのeさんに強く誘われたのだが、明日は明日でどうなるか分からない。しかし多分3年ぶりくらい、4ピースでは4年ぶりくらいのヒートウェイヴではある。それに、亡くなった富山の友人のことも思い出した。
 まあ、結局は翌日は加古川近辺でバタバタとし、梅田まで出る気力も体力もなく、倉敷まで帰るので精一杯なボロ雑巾のようになったのだが。
 折角誘ってくれたのに申し訳ない。でも、彼女のようなファンがいて、ヒートウェイヴは、山口洋は、幸せだと思う。
 そういえば、今までの人生で唯一ユニオンを広めることに成功した元同僚、通称メガネくんは今日は来ていないようだ。明日の磔磔に行くのだろうか。
 ユニオンのライヴに通うようになってもう15年近く経つ。客の顔ぶれも変わったように思う。初めては『エレクトロアジールバップ』のツアーだったから96年。「エエジャナイカ」が14年も前の曲なのか。そんなに前なのが意外な気もするけど、その期間はすっと傍らにある曲でもあった、とか考えを巡らせていると、客電が落ちた。
 「祝祭的」という言葉は、ソウルフラワーのライヴを語る上でよく使われる言い回しだが、まさしくそれが最も大きな楽しみの要素である。生きていてよかったと思う。
 ライヴで関西まで出張る時は、体力が満タンであった試しはなく、歩き疲れていつも結構クタクタだし、認めたくない年齢のせいか、20代のころのように縦方向には動けない。だから、横に、時には斜めに踊った。私にとっては、ソウルフラワーユニオンはロックンロールに求めるすべてのものが詰まっている。
 本編で頑張りすぎたのか、アンコールは1回だったが、それでも満足だった。
 終演後、耳がクワ〜ンとなった心地よい感じを伴いながら新快速に乗って加古川へ。パチ屋でも玉の音や各台から乱れ出る音の濁流で耳がクワ〜ンてなるのだが、そんなのとは全然違う。大声を出したので声も枯れた。
 加古川のカフェ・セシルで妻と合流。閉店時間の過ぎたセシルでさらに長居し、マスターS氏にメキシコ音楽と昭和後期歌謡曲を色々と聴かせてもらう。『飛べ!孫悟空』の 挿入歌のドリフターズ自身による「ゴー・ウエスト」の素晴らしさに驚いた。ペダルスティールは誰が弾いているのだろう。案外スタジオミュージシャンかもしれないが、ミュージシャンとしてのドリフターズの面目躍如ではある。
 遅くまですみませんでしたと思いつつ、セシルを出てその晩は妻の実家に泊った。波乱の一日を回想しつつ、眠りに着いた。いい一日だった。