劇場版「機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」を見ました(ネタバレ含む)

 終盤に差しかかったあたりから、見終わった後の客席の雰囲気がどんな風になるのかばかりが気になりだした。
 というのは、あまりにも面白くなかったからである。
 これほどつまらない映画を見た記憶はない。戦闘シーンなど、絵は確かに劇場作品だけあってしっかりと作り込まれているし、物凄いスペクタクルなんだけれど、如何せん、戦っている相手があんな種類の「イキモノ?」では、「絵」にならない。高いクオリティの絵が無駄に浪費されて行くようで、むしろ勿体なさばかりを感じた。
 シチュエーションがあってキャラクターはいるけど、物語と人物がない、とでも言えばいいのか。
 だから、多分満席近い客席うちの大部分の人が、私よりもずっとアニメを見慣れているであろうが、彼彼女らが見終えた後どんなリアクションを示すのか、どんな重々しい嘆息をつき、落胆と後悔の入り交じった空気が醸成されるのか、興味深かった。
 思えば、ガンダムOOのファーストシーズンは面白かった。私としては非冨野のガンダムとしては一番好きだったし意欲的であると思った。
 ところが、セカンドシーズンを見終わった時、落胆した。その記憶を忘れていた。ファーストシーズンを見ていたころの充実した気分ばかりを覚えていて、劇場に足を運んでしまったのだろう。期待してしまったのだ。
 とにかく、いい部分というのが思いつかない。ファーストシーンの、新型ガンダムが運ばれてくるところは格好いい。ラストシーンの年老いたマリナ姫の元に「進化?」した刹那が訪れるところも、花畑そのものになったガンダムもいいと言えばいいのだが、既視感があり過ぎるのだ。
 「ガンダムSEEDシリーズ」は最初から最後まで酷かったが、途中までは面白かった「ガンダムOO」も刺さなくてもいいトドメ、完全なる蛇足をつけてしまったとしか言いようがない。ファーストシーズン(正確にはセカンドシーズンの中盤)までは素晴らしかったのに。
 劇中に地球連邦新政権がプロパガンダのために作ったというソレスタルビーイングの伝記映画があったが、ある意味この作品自体が「実は劇中劇でした」というメタなオチであってくれ、と願った。
 そういえば、「仮面ライダーディケイド」は酷い作品だと思いながらも放送は全話見続け、完結編まで劇場に足を運んだのだが、「仮面ライダーディケイドに物語は必要ありませんから」という劇中の一言で、この作品が大いなるメタフィクションであったのだと見方を変えて、180度評価が変わったのを思い出した。今作は、そうではなかったのだが。
 で、上映が終わった後、どんな雰囲気になるのかと思いきや、隣に座っていた女性2人組が口々に「面白かったねカッコよかったね」を連発し始めたので、頭が真っ白になった。もしかして私はとてもズレているのだろうか。確かに、他にも怒りに震えている人や、虚脱して灰になった人なんてのは見なかった。ただ、ボーっと何か考えながら歩いている人ばかり多かった。
 まあ、本当のところは、見て後悔はしてはいない。「宇宙世紀ガンダム」だけで充分だというのが正直なところだけど、「非宇宙世紀ガンダム」も楽しんで見ることはできる。ガンダムではあるので見るのは必然であったろうし、仮に「SEED」の劇場版だったとしても見ただろう。下らない映画を見るというのも、一興ではあるし。難しいですね。 web上での評判がどうかなど、まだチェックはしていない。大絶賛の嵐なら、よっぽど私の感性はズレているのだろう。とりあえず、もう疲れたので寝ます。