土佐に生れし男児なら

高知の観光は潤っているよう

 大河ドラマ龍馬伝」は毎週楽しく見ているのだが、どうにも龍馬役の役者が好きになれない。努力はしたけど、やはりダメだ。他の役者は概ね好きだし、フィクションの部分もよく練られていると思う。
 では、「誰が?」と問われれば、ぴったりな役者も思いつかない。「俺が…」と恐れ多いことを言いたくもある。正味な話、誰を演りたいかと問われれば、武市瑞山半平太と即答するだろうが、激しく反論もされようから、河田小龍くらいにしておこうか。オファーを待つ。
 明治十五年に坂崎紫瀾が弥太郎を訪ねるというのが導入部分であったが、私は「次の大河に龍馬」という一報を聞いた時点で「中江兆民先生、幸徳秋水に幕末を語る。田中光顕も絡めて」というシチュエーションを構想した。
http://d.hatena.ne.jp/kannou/20080607
 この前の回は半平太切腹であった。
 半平太も以蔵も悪者にせず、弥太郎も絡めつつ、土佐に密かに帰国した龍馬へ夢を託す半平太という感動のシチュエーションで第二部を締めくくるってのはクドイけれどもよく練られた妥当なフィクションだなとか醒めつつ見ていたので、よく出来たドラマを見た程度の感動しかなかったのだが、史跡などを紹介するオマケコーナーの「龍馬伝紀行」で半平太とお富さんの墓所が映った途端、実在した瑞山半平太への想いがこみ上げて来て涙が落ちた。
 龍馬に対しては想いも一層篤く、どんなドラマを見ても近江屋の場面で(それは条件反射的に、そういう教育を受けてきた高知市民、とりわけ高知市立第四小学校OBであるが故に)いつも落涙するのだが、今年はどうなのだろう。
 「龍馬伝」はよく出来た作品であり、より一層号泣する価値はあるのだが、あの役者で泣くのも癪だなとも思う。悪い俳優ではない、とは思うけど。