March 16, 2010 BOB DYLAN @ OSAKA ZEPP その2

kannou2010-03-28

 湾岸の強い風に吹かれながらZEPP大阪の前に立った。ブートレグ・グッズの屋台は出ていないようだった。他の日はどうだったか判らないけど。
 初めてディランを観た94年の広島では、世間知らずな田舎の青年は、会場に入る前、そうとは知らずに粗悪なカレンダーだとかキャップだとかを買いまくって散財し、公式なグッズはツアーパンフ程度しか買えなかったという苦い経験がある。
 ともあれ、入場。物販は外でしていたので、寒いからスルー。事前にwebで商品はチェックしていて、特に買う予定もなかった。ツアーパンフ的なものもないし。
 話題のチロルチョコには確かに心を動かされた。これはそれぞれにディランのアルバムのジャケ写が印刷されたチロルが50個ほどの詰め合わせになったもので、側面には歌詞の一部も印刷されているらしい。ディランのジャケ写だろうがなんだろうが、チロルはチロルであり、それは無駄遣いというものだろう。と、自分に言い聞かせて買わなかったのだが、やはり何か記念になるものは手元に置いておくべきだった、と後で思う。包み紙だけ、保存しておけるし。
 折角、整理番号は割と若めではあったのだから、もっと早めに会場に入っておけばよかったのだが、いつものクセというか、ゆっくり目に行ってしまった。
 やはり前の方は人で埋まっていて、パンク系のライヴでもないのに前の方まで割り込むのは遠慮するのが避けられない状態。でも、正しいかどうかは判らないけど、自説ではPA卓前あたりが音響的に一番良いはずで、とりあえずそんな場所でもディランのオルガンのスピーカーの上に置かれたオスカー像はかろうじて視認できるから良し。下手に前に出るより、段差を上がったこのあたりの方がステージはよく見えるかもしれない。
 そんな打算をしつつ、何度も腕時計を見る。全然時間は進まない。上着などはロッカーに預け、Tシャツ1枚、頭には手ぬぐい巻いて、嫌らしいくらいやる気ムキ出しな格好をしている。
 そんなうちにローディーさんたちが最終チェックを始めて、何から何までやらなけりゃならないFive-DのH田さんみたいな人と、多分スタッフの人員的には充実していてキッチリ分業できていそうな大物付きとはどっちが大変なのかなあとか取り留めのないことを考えても、やはりタイム・パスト・スロウリィ。
 客層は各世代まんべんなくといった感じで、20代もよく見かけるが、30代が一番、次は40代が多いようで、60年代をリアルタイムで体験したような世代は事前の予想ほどは多くなかった。あるいは2階の2万円椅子席に多かったのだろうか。
 もちろん1曲目が何かというのは、来日が決まったと知った日からずっと考え続けて来たのだが、予想はつかない。
 いつもなら事前にセットリストのチェックなんてことはしないのだが、予想のつかないディランに関しては例外で、寧ろそれが楽しみを倍増させる行為でもあり、しかし「ヒョウ皮のふちなし帽」「メンフィス・ブルース」「河の流れを見つめて」はすでに今回の大阪でやっているので、またはないだろう。(「河の流れ〜」は10日と15日に両方しているけど。)となると、分からない。
 ベスト盤に入るようなベタな曲はないだろうし、かつ踊れる曲だろう。「トゥイードル・ディー&トゥイードル・ダム」が来そうな気はするけど、それはベタすぎるな、とか何度も考えたことをまた考えていると、ステージから香の香りが客席まで漂って来た。多分10分くらいしか遅れてなかったと思う。そして客電が落ちてショウの始まりを告げるあの有名なアナウンスが流れた。