讃岐〜阿波へ行って来ました(一月前)

kannou2009-07-14

 四月五月六月はどうにもレイジーな気持ちの時期が続き、日記の更新も滞っていた。近頃比較的更新すること多いのはガンプラを始めたからかもしれない。何にせよモノを作るという行為は、ヒーリングとして機能するらしい。何より、作ったプラモは人に見せたくなる。自慢できる作品ではないとしても。
 
 で、その日記を書いていなかった期間、藤井一彦のソロ@福山ポレポレとくるり@高松オリーブホールを観た。
 一彦の福山は、地元だけあっていつものように大いに盛り上がったが、連日のツアーの疲れか、明らかにいつもより短かった。それでも内容はよかったので、文句はない。先日のソロアルバムからと、当時ミックス中だったグルーヴァーズの新譜からの曲が中心で、恒例のカヴァーは少なめ。やっぱり一彦は上手いよなあ、ギター一本でもめちゃくちゃ世界が広がるなあ、と今回も思った。何分、かなり前のことなので、良かった印象は胸に刻まれているが、具体的な記憶は薄れた。
 くるりは今ツアーは完全なトリオだった。これで観るのは四回目だけど、鍵盤やもう一人ギタリストなどがいることが普通で、トリオでのくるりは初体験。
 去年出たライヴ盤に収録されている京都磔磔では一彦がサポートだったので、淡い期待を抱きつつ瀬戸大橋を渡った。とは言っても、そういうことなら事前に発表されているはずで、一彦がゲストということがサプライズとして伏せられるとも考えられず、そもそもサプライズになりようもなく、本気で期待はしていなかったのではある。
 初めて行ったオリーブホールは高松中心地の便利な場所にあり、規模自体は高知で言うならキャラバン・サライ程度。分かりやすく言えば、クアトロ以上ビッグキャット未満ってところ(多分)。あれ、でも、キャラバンサライって心斎橋クアトロより大きかったっけ、と記憶を辿っている。オリーブホールがクアトロより大きいってのも怪しい。調べれば分かるけど、これ以上気にもしない。
 開演したらトリオだった。後の方だったので、前の客の頭たちで、岸田の顔はギリギリ見えるが、ギターのヘッドは見えず。よってギターの機種はまったく分からなかった。
 心斎橋クアトロは段差があって、後の方からでもステージが割と見える。オリーブホールやキャラバンサライはフラットなので、ステージまでが遠い、だから大きい会場、という印象を持ったのかもしれない。
 達身が加入する前はトリオでライヴもしていたのだろうから元々の編成に戻ったのであろうが、その時期を私は知らない。トリオでのくるりは未知数であった。
 それは完全に杞憂だった。むしろトリオであるからこそのソリッドさが最高に格好いい。
 構成も上手く、前半は過去の定番曲を持って来て、後半に新譜の曲をまとめていた。高松は新譜発売日から四日後だったので、まだ聴き込めてない客も多く、初めに定番を持って来た方が温まって来やすかったと思う。
 ジャムバンド的な局面もあってスリリングで、プレイヤーとしてもすごいぞくるりと思った。下ネタも電車ネタもいつものようにあったし。
 ライヴ後は琴電瓦町駅前の居酒屋へ。素晴らしいライヴの後というのは心中はそりゃもうもの凄く昂ぶっていて、内面に渦巻くものがあるのだが、それらを言語化するという行程がとても骨折りなのと、シャイな性分か口角泡を飛ばすように感情を発露させるのも気恥ずかしく、また耳がバカになっている状況下でもあるので、ライヴそのものについてはあまり語らないことの方が多く、殊に相手が妻であると逆に恥ずかしさが倍なのだが、この時は例外的に「すごい、すごい、感激」と繰り返し言ったような気がする。ヴォキャブラリーは貧困であったけれど。
 翌朝、高松市内のビジネスホテルで目覚めて朝食。ここの食堂のおばちゃんは名物らしい。新聞記事の切り抜きがエレヴェータ内に貼ってあった。讃岐らしく朝食でもうどんを出すのだが「ごはんもあるよ〜ごはん食べてよ〜」と絶叫に近い声を出しながら、うどんを茹でていた。「おかずもっと食べてえよ〜お漬けもんもあるよ〜」とも。おそらく食材を余らせるのを避けたいという気持ちもありつつ、おばちゃんの中からナチュラルに出たホスピタリティなのだろう。八十に近いようで、腰も曲がっているが、機敏に動き、一人で朝の食堂を回している凄い人だった。
 それから徳島の鳴門へ。鳴門大橋は何度も渡ったことはあるが、立ち寄るのは初めて。大鳴門橋の四国側は、橋の最下層の鉄道を敷く予定であったスペースを利用して、海側まで五百メーターほど遊歩道になっている。一部の床には強化ガラスが嵌めてあるのだが、橋の高さが百メーター近くはあるので、高所恐怖症には恐怖。
 高いところから見た後は近くでも見たくなるもので、遊覧船にも乗ってみた。私はほんとうに船が好き。気持ちよく揺られて、近くで見る激流は大迫力で、ラッキーなことにキレイに渦巻き状になった流れを見ることもできた。一瞬で消えたけど。