夏の雪女

 あれからもう2週間も経ってしまった。「大山モンド08」からである。
 もうそろそろかなと思い、メインステージへ出向くと、まだまだギターパンダの番だった。1時間以上遅れているらしい。
 ギターパンダは、下ネタばかりで、日ごろお上品な音楽ばかり聴いている私にはまったく遠くの世界観といった感じだった。正味なところ、面白かった。
 で、ステージの入れ替え。ちょっと雨足も強くはなってきたけど激しいというほどではない。どうせ汗かくのだから、合羽と上着は仕舞った。
 客電が落ちて、「大山モンド」とか「ソウルフラワーユニオン」とか書かれた垂れ幕をもった女性が4人ほどステージに登場。艶っぽい浴衣姿。大きな歓声。え?チンドン太鼓に新メンバー?と思ったけど、各バンド登場の前にも出てきていて、「ラウンドガール」的な役割の人たちらしい。ユニオンの新メンバーなら、俺はもう東名阪追っかけるよと思った。ほんとうに美しかった。野外で夜間であることや照明の具合や客側ももうかなり出来上がっていることあって、実際「4割増」くらいだったのかもしれない。いや、それを勘案したとしても、彼女らが相当な別嬪たちであることには間違いはない。彼女らを見られただけでも大山まで来た甲斐があった。充分であった。気温も結構下がって、雨も降って肌寒い。呼気が白い。でも、雪女にはまだ季節が早い。伯耆に雪女の伝承があるかも知らない。それに多分、あんな派手な柄の浴衣なんか着た雪女はいない。でも、雪女というのは、実際あれくらい綺麗なのだろう、とか思った。
 そして山陰では初のソウルフラワーユニオンが登場。1曲目から「エエジャナイカ」。新譜前だから新曲で行くのかと予想を立てていたけど、ファン新規獲得のためにキラーチューンのみで飛ばしていく作戦だった。
 マナーの悪い客もいたけど、凄い盛り上がりで、伝説の「フジロック2000グリーンステージ」を垣間見たようだ。一見の客の方が燃えるのが中川だ。
 下から観ていてはハウリングが多いなあくらいしか分からなかったが、ステージ上のモニターの調子がかなり悪かったらしい。それでも客を楽しませる姿勢を崩さなかった中川は、プロとしては当然なんだけど、ほんとうはやはりいい人。これが何とかいうバンドの唄とギターの人だったら、キレまくりだろう。それでも一生ヒートウェイヴは好きやけど。
 機材トラブルと時間が押したことの多分両方のため、アンコールはなしで終了。中川はアンコール代わりにステージに立って「来年も来たい」と言っていた。
 本当に楽しめた一日だった。主催者にも感謝したい。
 今月の新譜発表ツアーは広島に行く予定。大阪以外の場所での客の反応も見てみたいし、珍しい土地の方が中川も気合いが入るだろうと思う。