音楽の大地

with LLGromit

 「LAND OF MUSIC」には賛否あるようだ。私には、これは名盤にしか聴こえないけれど。多分このアルバムが好きじゃない人はダニエル・ラノアの仕事も好きじゃない人だろう。ディランの「Time out of mind」とかラノア本人の「For The Beauty Of Wynona」とか。直感だけど。
 また別の話で、「出発の歌」が(意図的でなく)トラッドのメロディを借用した件は、別にいいんじゃないかと思う。今後のプレス分(が、もしあれば。)から「inspiration from〜」とかクレジットは入れた方がいいけど。
 特にフォークやブルースの世界では過去の曲から借用することは当然のことであるし、ディラン御大など最新作では明らかにマディのカヴァでありながら自作曲としてクレジットしているし。(尤も、御大の場合は自作と他人の曲の区別がつかなくなっているのかもしれない、偉大すぎて。)
 そのディランの新作は極端な例としても、フォークやブルースの世界の「借用」という伝統は、見様によっては音楽の共有財産化でもあり、「唄は皆のものでもあって、誰かのものでもない」ともいえる。
 著作権という概念が音楽制作を息苦しく硬直したものにしたともいえる。産業としての音楽、あるいは西洋の「いわゆる」クラシック音楽的な発想から見れば、著作権はまるで「土地の占有」のように不可欠かつ有意義なものではあるが。
 だから、要はリスペクトする心だ。音楽の伝統に愛情と理解があればいい。山口のアイリッシュ・トラッドへの思いにそれらは充分ある。
 それ以前に「No Fear」とホットハウスフラワーズの「I'm sorry」は…。