ヒロシマの夜

 午後になってから広島市内に入り、「広島市現代美術館」で「岡本太郎展」を見た。これは妻の趣味。よく史跡巡りなどに付き合わせるのでたまにはこちらが付き合わねば。と思ったのだが、普段あまりアートに関心がない私も感銘を受けた。パワフル。

 展示は撮影禁止なので、外にあった太陽の塔の後姿↑
 美術館のある小高い丘から街へ長いエスカレーターが続いていたので降りてみた。繋がったところはマイカルだった。全長1キロくらいあったのではないだろうか。謎の設備だった。
 思えば、この丘も爆心地から近い。広島という街に行くと、60年前の風景というものをどうしても考える。本当は大和ミュージアムなんかではなくて、皆平和資料館に行くべきだ。本当に想像すべきは、戦争や核兵器による惨状だ。まあ、大和ミュージアムを訪れる外国人観光客は少数だろうし、とりわけ韓国人や中国人は皆無に近いだろう。しかしヒロシマナガサキに、すべての国の指導者と核兵器保有する国の国民は、訪れるべきだ。
 慰霊碑の「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という文言には賛否ある。主語が曖昧であるという理由で岡本太郎も批判していたらしい。私は、これはこれでいいと思う。加害の面も含めての「過ち」である。戦争のひとつの極点としての核兵器であるからだ。核の使用者としての米国への非難は勿論なされるべきであるが、違う次元で、この碑文は先の大戦に限らず戦争を、もっと総括的に指したものと、私は解釈したい。つまり主語は全人類であると。
 こういう考え方は、昨今の時勢では、ほんとに少数派になっているが。
 今回はもう遅くなり、平和資料館には行けなかった。今まで3回来たことはあったが、修学旅行を長崎に行った妻は行ったことがなかったそうだ。
 桃梨のライヴ会場のカフェ「OTIS!」は、平和公園からも近く、厚生年金ホールの真向かいだった。このホールは94年にディランを初めて観た会場である。そしてそれが私のプロのライヴ初体験であった。(初体験が遅かった。)その時のディランの、「戦争の親玉」は、妙に力が入っていた。ヒロシマという街にあってのことか。ロック化以降、政治的発言はほとんどしないディランであるが、その本心を見たとも思ったが、それも彼にとっては鬱陶しい思い入れに感じられるのかも。
 開演まではまだ時間があるので、お好み焼きを食べに繁華街方面へ行った。平和公園を抜けたら、球場があってビックリした。こんなところにあるとは知らなかった。念願の本場のお好み焼きを食べて、街を歩いていたら、おもちゃ屋でグルミットのぬいぐるみを多数発見。広島では人気者なのか?