ロボット博士

 幼い頃、最初になりたいと思った職業は「ハカセ」であった。古い巨大ロボットアニメには大抵博士が登場し、彼らはロボットの製作者であり、戦闘指揮官を兼ねている場合も多かった。そういうのを見て、「ハカセとは、ロボットを造る人のこと」だと思っていた。大人になったら、巨大ロボットを造りたかった。もちろんパイロットも兼任するつもりだった。
 私の幼年時代、70年代はロボットアニメの全盛であった。その当時、私にはニューヨークで発生し、ロンドンで発火したパンクムーブメントなんて、まったく興味はなかった。というよりも知る訳はないが。
 ガンダムを初めて見た時は、訳の分からない異質なものを見た気がした。主人公のアムロ少年は全然ヒーローではないし、戦闘も地味で、ロボットに必殺技もない。第一登場人物たちの言っていることがまったく理解できない。見るには見たが、熱中はしなかった。でもおもちゃは買ってもらった記憶がある。 本放送でのガンダムは、一般的に、特に子供層には不人気で、打ち切りになるのだが、数年後、私は小学校中学年の頃、ガンダムプラモデルのブームが到来し、一世を風靡する。その時にはそのガンダム世界の難しさが逆に新鮮に感じるようになり、おもちゃではなく、プラモを作ることがお兄さんになったなったような気がした。さらに中学生になって、難しい世界設定なんかが理解できるようになるころ、Z(ゼータ)ガンダムが始まった。そういうムーブメントにど真ん中の世代なのである。