姑獲鳥の夏

 京極夏彦の小説の映画化「姑獲鳥の夏」を観に行った。これも期待と不安が入り混じりつつ、だったのだが、大変面白かった。役者も皆よかった。豪華でもある。各登場人物が、小説で持ったイメージとは多少なりとも違いつつ、新しい像を創ることに成功している。確かに堤真一京極堂は、小説の描写にある「不機嫌な芥川龍之介」のような佇まいはないが、それでもやはり京極堂そのものであった。田中麗奈は可愛いし原田知世は美しい。
 実相寺昭雄らしい捻った演出もありつつエンターテイメントして成立し、小説を読んだことがない人でも楽しめたのではないだろうか。
 原作者も思わぬところで出演し、これには驚きつつ笑った。出ることは十分に予想できたのだが、まさかあの人物を演じるとは。
 客も予想外に多かった。小説はベストセラーであるし、映画も多分誰が見ても楽しめるものであるだろうから、興行的にも成功するだろう。この面子での続編を望みたい。しかし、当然原田知世はもう次作には出ないんだよな、今作だけの登場人物だから。それは残念だ。