ア・ルータ・コンティヌーア!

 最近ちょっとロックンロールから気持ちが離れ気味。日本史に興味が傾いていて、その分野の本ばかり読んでいる。驚くべきことに、2ヶ月連続でレコードコレクターズを買っていない。たとえ興味のあるミュージシャンが載っていない号でも常に買い続けていたものだが。今は興味なくとも、数年後にはそこに書かれている情報が必要となるかもしれないし。
 しかもさらに驚くべきことに、今年に入ってから、CDを3枚程度しか買っていない。これは「15でレールを踏み外し」てから初めてのことだ。
 とはいっても、音楽をまったく聴かない訳ではなく、聴いている時は叫んだり転げたりエアー楽団したりと、真っ当で純粋で粋な楽しみ方は相変わらずであるのだけど。
 まあ、今まで自分のレコード棚に並べたすべてを充分に味わい尽くしている訳ではなく、聴き込む前に次々新しいのを買うというサイクルを繰り返してきた訳で、棚の肥やしになっているレコードたちを消化する時期と考えることにしよう。
 でもここ数年前から、自分の「未知の音楽」への冒険というのが減る傾向にはあった。以前は雑誌の記事などでちょっとでも興味を引くものは聴いてみて、そこでの新鮮な出会いの驚きを楽しんで、守備範囲が広がって行くのが大きな楽しみであったのだけれど。
 思えば最近は、いわゆるロック・クラシックというか定番的なものばかり聴いている。それはハズレはないんだけれど、保守的でドキドキ感に欠ける。
 かといって、年間60枚以上(ビックリする程の枚数ではないが。)レコードを購入する日常に戻るのもそれはそれで恐ろしい。
 そんな訳で、先日の友人の結婚パーティに出るまで、ソウルフラワーユニオンの新譜が出るのを知らなかった。まあ、私の場合は新譜のチェックというのは元々マメにしない質なので、友人から知らされて驚くことはままあったが。
 中川曰く「最高傑作」らしい。
 彼の言葉は、新譜が出る度に「最高傑作」であるので、「左様ですか」という返答しかないのだが、期待は大きい。近年ユニオンのライヴにはあまり行く機会がなく、曲目を見ても知らない曲が大半であるのだが、「野生の勘」で傑作を予感している。
 フルアルバムは2001年「スクリューボールコメディ」以来となる。その間の「ライヴ音源を含むミニアルバム(?)も、けして悪くはなく、聴きどころも多かったのだが他作と比べると物足りなさもあった。それにライヴ音源がどれも「花粉症の季節」のもので、中川の声に苦しさがあった。
 「スクリューボール〜」はまさしく名盤であった。「このアルバムを聴くためにファンを続けてきた」と思わせた。「ソウルフラワー・クリーク」や「リベラリスト〜」「もののけと遊ぶ庭」など複雑で大作的な楽曲も中川の魅力であったけれど、シンプルでストレートでありながらやはりひねくれた泥臭さを持つ楽曲がこの時期のバンドの演奏のソリッドさで刻まれた瑞々しい一枚である。レイ・フィンのドラムも素晴らしい。
 あの感激をふたたび。