コマーシャルの時間じゃありませんわよ

メガネメガネ

ここ数年で目が悪くなってきた。
以前は左1.5右2.0だったのに、いまや左は0.5で右は1.0くらいになった。
眼鏡が必要なほどではないが、このまま視力が下がり続ければ、そうなるのかも。眼鏡は似合わないしコンタクトは面倒そうだ。
で、眼鏡といえば、こんなコマーシャルがあった。私が保育園の頃から記憶にあるので、70年代初めから、多分ここ数年前くらいまでの長期間、ヴァージョンチェンジせず、ずっと同じCMであった。
だから、高知で少なくとも二十歳以上なら、皆知っているだろう。

場面は、中学校の教室の一風景だ。
授業中、ひとりの生徒がおもむろに席を立ち、黒板を指差し、
「先生、その字が見えません」
と叫ぶ。その生徒は眼鏡をかけている。
振り向いた先生も、太い黒ぶちの眼鏡をかけているのだが、その生徒に向かい、
「山本、お前、メガネのカドタに行って来いよ」
と答える。
すると女生徒−この子はメガネをかけていない−が、席を立ち、
「先生、コマーシャルの時間じゃありませんわよ」
と優しく突っ込む。
次の瞬間教室は爆笑の渦。女生徒ははにかみながら、笑顔。

というCMだった。
高知の小中学校では、このCMのマネがお約束で、必ずクラス中、ドッカーンという感じだった。
今どきの生徒はもうこのCMは知らないだろうが、今でもどこかの職場や家庭では、メガネの話になると、「先生、その字が見えません」という定番ギャグは交わされているのだろう。
試しに、高知に来た時には「お前、メガネのカドタへ行って来いよ」地元の女性に話しかけてみるといい。必ず「コマーシャルの時間じゃありませんわよ」と返されるはずだ。
関西圏のように明確にボケ・ツッコミ文化が根付いているわけではないだろうが、このやりとりだけは、確実に土佐人の中に染み付いている。
ところで、このCMでは、登場人物がみな標準語でしゃべっていたのを、ここまで書いていて思い出した。
高知の地元CMでは、親近感を出すために、土佐弁を使うことが多いのだが、どうしてなのだろう。
「カドタ」という名前にしても、「カ」にアクセントを置く標準語的なイントネーションなのだが、高知では、特に名字において、あまり抑揚をつける傾向がなく、「カドタ」にしても3音とも平坦に発音する。
ただ、演出的には、やはり標準語の淡白な空気感が、奏効しているとも言える。ただ単に東京の劇団を使っただけなのだろうが。
ともあれ、視力が下がりつつあることが心配ではある。
今まで私のいいところといえば、目だけであったのだが。
初めて視力低下に気付いたのは、6年ほど前だったか。ちょっと視界の左に軽い歪みのようなものを感じて目医者に行ってみた。
乱視の傾向はあったのだが、その時点ではまだ左も1.0あったので、「来なくていいよ」と言われた。
でも、健康診断の度、少しずつ視力は下がっていた。
大学生の頃など、いくらTVゲームをしても目が悪くなることはなかったのだが、やはり98年からPCを触るようになった影響だろうか。
しかしまあ、視力が良すぎると老眼がひどいという話も聞くし、ちょっと下がったくらいどうってことはないのかも。山に登った時、出来るだけ遠くがキレイに見えるほうがありがたいのだけれど。