めをとガンプラ 序

kannou2009-07-24

 数日前の夜、テレビを点けたら、古谷徹アムロの制服を着て出ていて、若井おさむかと思った。近々BS2放送で放送予定のガンダム特集の番宣だった。
 今年はガンダム誕生から三十年になり、関連してお台場に実物大ガンダムが建立されたり、世の中一般でも盛り上がっている。
 そんな世間の盛り上がりとは無関係に、いつでも私の中ではガンダムの風がジェット・ストリーム・アタックの如くに渦巻いているのだが、近頃はそれがさらに三倍の速度になっているようでもあるから、やはり影響は受けているのかなあと思ったりもする。
 そんなガンプラな日々の影響か、妻も近頃「アッガイくんでも作ってみようかな」という気になっている。
 妻でも、アッガイがかわいくて体育座りが様になるということは知っている。無論、MGシリーズはパーツが多いので、1/144のHGUCシリーズを選ぶつもりだが、HGUCのキットは体育座りが出来ない。そこんとこは、ガマンするしかない。ただし平気で、ランナーからパーツを素手でもぎ取ったりしそうだ。おそろしい。
 で、その日の私は「1/100 MG MS-06F ザク2(←2は本当はローマ数字)ver.2.0」を制作。その前に色々道具を揃えに買い物へ。100均ショップにて、デカールを切るためのカッターナイフとカッターマット、塗料を混ぜるためのパレットやスポイドなど。本当は今あるものでも代用できそうな気がするけど。それから塗料を買いにいつものデオデオ倉敷店へ。一部分しか塗装しないので、そんなに必要ないのだけど、ザクのパイロットは是非とも塗りたかった。ジオン臭いパイロット・スーツはイカす。ちなみにアクリル系を使っている。筆は水で洗えるし、水性よりは乾きは早い。ラッカーの方がいいんだろうけど、馬鹿になるかもしれないから。
 先日やっと「1/100 MG Ζガンダムver.2.0」が完成した後、「やっぱりモビルスーツ一年戦争期のに限るわ」と「1/100 MG ガンダムMk.2(←2は本当はローマ数字)ver.2.0」はひとまず寝かせておいて、では何を作ろうかととても迷った。
 やはりMSの原点たる「ザク2(←2は本当はローマ数字)」か、遅すぎた傑作機「ゲルググ」か、夏らしく「ズゴック」か、哀愁の「ジム」か。
 ズゴックはもっと後(来年夏)でもいいし、ゲルググかザクかで言えば、ザクだろうし、で、ザクかジムかでかなり迷った。
 とりあえず早急に数を揃えねばならず、「急ごしらえの粗悪品」と一部では言われつつも、実は優秀な基礎設計と豊富な拡張性を持ち、ガンダムなどよりもずっと「兵器」らしく、本当の意味で連邦に勝利をもたらしたMSはジムであるのだ。(尤も、OSをはじめ、ジムの稼働には、アムロガンダムが得たデータに依るところが大きいのも事実ではあるのだが。)子供のころは、序盤でそれなりに活躍したザクと違い、劇中で名前のあるパイロットも搭乗せず、集団で押し寄せ、次々に撃墜されて行くジムが格好良くもなんともなくて、プラモを作ろうとも思わなかったが、今では、そんなジムにこそ、機動歩兵としての説得力を感じる。格好良さの違いが、MSの魅力の決定的差ではない。
 でも、「やはりジオンだ」と、ザクにした。ジムは次回にということで。
 ザクならザクで「J型かF型かS型にするのかR型にするのか」という問題がある。S型やR型なら必然的に有名エースパイロットの専用機ということになるのだが、例えば、「黒い三連星」の愛機「MS-06R-1A」だとしたら、将来陳列棚に加わるであろうジムとは合わせられない。何故なら、彼らがMS-06R-1Aに搭乗していた頃は、まだジムは配備されていななかった。(先行量産型の宇宙用なら配備されていたかもしれないが、キットは出ていないし、そもそも作りたくもない。)同じくRX-78-2ガンダムとも合わせられない。
 同じ理由で「MS-06S型」シャア・アズナブル少佐搭乗機もジムとは合わせられないが、RX-78-2ガンダムとの相性はバッチリだ。何より、あの赤い彗星シャア・アズナブルの専用機であるのだ。それに、我々はシャア・アズナブルという男が後に歩んだ道程も知っている。若い部下にぶん殴られたり、捨てた女に仕返しされたり、革命家であるよりも私的な妄執に逃避したり――。ジオン公国時代の謀略を秘めたライバルキャラから転落した、それ以降の情けないシャア。だからこそ、最高に興味深い人物だ。
 確かに「シャア専用ザク」はシャアの乗機であるからこそ、魅力的だ。しかし逆に言えば、「シャアの乗機」と限定されているとも言える。それは「ジョニー・ライデン機」でも「シン・マツナガ機」でも同様だ。つまり、昔風な言い方で言えば「量産型ザク」、ノーマルカラーのザクであれば、自分の制作したプラモに搭乗したパイロットを、「架空」の人物として自分なりに想定できるのだ。そのパイロットを自分の子孫とするも良し、好きなコの名前にするも良し。妄想の設定を広げる余地があるのだ。
 テクのある人ならば、改造したりオリジナルの塗装をしたりと、独自の設定をキットそのものに実現させられるのだろうが、私のように作るだけで精一杯な者は想像の翼を広げるだけで楽しまなければならない。
 妻は私が買った「1/100 MG MS-06F ザク2 ver.2.0」を見て「シャア専用の方が格好いいのに!」と言っていたが、上記の深遠な思いを理解することはないだろう。
 大体、妻はシャア・アズナブルという人は知っていても、「格好つけて仮面を着けた美形の凄く強いパイロット」くらいの知識しかない。私がDVDなどを見ていても、横からランバ・ラルを指して「この人、えいもん、悪いもん?」と聞く程度の理解度だ。
 で、ザクのF型にしたのだが、別にJ型でも良かった。J型の方が、ミサイルポッドが付いている分お得かな、とも思ったけど。
 そもそも、私が子供の頃は、F型とかJ型とかいう設定もなく、ザクは量産型とそれをチューンナップして赤く塗ったシャア専用ザクと旧型ザクしかなかった。それがいつの間にか旧型ザクがザク1、普通のザクがザク2ということになり、シャア専用機は別機種のS型であるとされ、モビルスーツヴァリエーションで高機動のR型や砂漠用D型などが出てきた。それはいいけれど、F型とJ型という仕様違いが設定し直されたのは何時ごろなのだろう。

 買い物を済ませ家に帰り、早速パイロットのフィギュアから塗装。綺麗にはできなかったけれど、一応オッケー。
 夕方、「しかし評論家としてのサエキけんぞうしか知らんな、パール兄弟は聴いたことが無かったな」と思いながら「パール歯科」へ。
 帰宅、ザク制作続行。
 深夜、内部フレームまで終了。MGシリーズは内部機構まで再現しているから楽しいけれど、手間がかかる。
 左足以外の外装を取り付けて、「ジオン軍ア・バオア・クー工廠にて、製造工程終盤の歩行機構テスト中」というイメージで写真撮影。
 しかし、この時点でランドセルや足のバーニアをシルバーで塗装したことが誤りだったと気がついた。説明書でそういう指定ではなくても、バーニアをシルバーで塗装するのはある種定番化していて、実際Ζガンダムはそうして格好良くなった。しかし、F型ザクの場合はやりすぎだった。シルバーのバーニアが主張し過ぎて、F型らしくない。S型みたい。これには気がつくべきだった。これはこれでいい、とするしかない。Ver.1.0みたいにF型/J型コンバーチブルで出してくれれば良かったのに。
 遅くなったので、ひとまず置いた。一気に作りすぎたかと反省。それから、アンメルツを塗って寝た。ガンプラは肩が凝る。