最強の怪獣〜卑怯もラッキョウもあるか

 同僚と「最強のウルトラ怪獣(宇宙人含む)は何か?」という話をしていて、ゼットンメフィラス星人だろうという結論になった。(ただし暗黒宇宙の支配者たるエンペラ星人は除く。)
 ゼットンはやはりウルトラマンを倒したという実績がある。メフィラスはウルトラマンと同等と噂される実力を持っていながら、あえて武力に訴えなかったところが、秘めたるものの底知れなさを感じさせる。
 ただしメビウスに再登場したメフィラスは、初代と同一個体であるようだが、ウルトラマンには押され気味であった。40年の間にマンはさらに強くなったのだろうか。それにエンペラ星人の手下であり、あっけなく粛清された。立ち居振る舞いはメフィラスらしかった(メビウスのスタッフはさすがによく分かっている)が、その最後はメフィラスらしくない。でもタロウに登場した貧相な二代目よりははるかにマシだ。「卑怯もラッキョウもあるか」
 ゼットン以外にもウルトラ兄弟たちに勝利した怪獣は多い。ガッツ星人ベムスター、ヒッポリト星人、バードン、ブニョなどなど枚挙に暇がない。でもやぱりゼットンは最強のイメージなのだ。
 恐らく「ゼットン最強説」は最多数派であるのだろう。ところが、私は子供のころには、この「ゼットン最強説」に対して疑問を抱いていた。ゼットンの最後は人類の兵器「ペンシル爆弾」よってであった。人間に倒される怪獣ってほんとに強いのか、と思った。まあ、「ウルトラマンに頼ってばかりでいいのか」という疑問が、テーマとして浮かび上がってきた折でもあり、作品のラストとして、それは相応しいものであったのだが。しかし科特隊はそこまで成長したのだが、その後のMATやTACの弱かったこと。もしかしたら何度かジェノサイド・レヴェルの所業を行ったウルトラ警備隊を負の教訓に、以降の防衛組織は力を制限されたのかもしれない。ともあれ、歴代最強の防衛隊はGUYSであることに異論を挟む人はいないだろう。
 ところで、小学館の雑誌の「○年生」だったと思うが、「最強のウルトラ怪獣決定トーナメント」という企画があった。迫力のあるイラストで、人気、実力ともにある怪獣たちがあい戦うのである。その記事は小学館オリジナルのもので、公式ではないのだが、幼少の私は、ほんとうに宇宙のどこかでそんな催しがあったのかと思っていた。参加怪獣など詳しいことは記憶にないが、その見事なイラストと「夢の対決」に心躍らせたことは鮮明に覚えている。
 決勝戦に進んだのは、ゼットンとバルタン星人二代目であった。バルタンには強いイメージはないのだが、分身の術や脱皮などを駆使して頭脳プレイで勝ち上がって来たのである。そんなバルタンもゼットンの圧倒的なパワーの前に劣勢に立たされる。両腕のハサミも破壊され、絶体絶命、ゼットンはとどめに1兆度の火の玉を発射した。しかし、そのバルタンは二代目なのだ。胸にはウルトラマン対策で取り付けた「スペルゲン反射板」がある。1兆度の火の玉はスペルゲン反射板に跳ね返され、無防備になったゼットンを直撃、ゼットン焼死。バルタン星人二代目、ウルトラマンに恨み晴らすことはできなかったが、最強怪獣王座に。
 考えてみれば、ペンシル爆弾についても、不意打ちだったから有効だったのかもしれない。というより、バリアさえ破れば、素のゼットンの防御力は大したことはないのかも。
 その同僚というのは、ものすごくウルトラ怪獣に詳しい。私がそのバルタンが二代目ということを言った時点で、結末をすでに予期していた。彼の知識は私など足もとにも及ばぬ。でもガンダムなら負けんが。
 しかしこれがゼットン二代目とバルタン星人Jrの戦いだと、ひどく低レヴェルなものであっただろう…。