まいりました

矢野絢子の初ライヴDVDを観た。
腰が抜けるほどすごかった。
さすがに年間ライヴ本数が多いだけに、ライヴでこそ本領を発揮するシンガーだった。それに、ピアニストとしての力量も改めて思い知らされた。
矢野の唄とピアノ(一部アコギ)とヴァイオリンの史香という2人の編成だったが、史香もすばらしいミュージシャンだ。矢野とずっといっしょに「歌小屋の2階」で活動しているらしい。
MCはほぼ土佐弁だった。語法的には標準語っぽい言葉を使うのだが、発音は完全に土佐弁なのだ。これにはうれしくなった。アルバム未収録曲で、土佐弁で書かれた曲もあったし。「ナイルの一滴」の収録曲「坊や」も土佐弁で書かれているが、これは彼女の作詞作曲ではなく、彼女にもこのような手法での曲を望んだのだけど、やはりすでにやっていたようである。
アルバムジャケ撮影時の仁淀川での映像と「歌小屋の2階」の映像も挿入されている。。今度高知に帰るときは絶対にライヴにタイミングを合わせよう。
収録されたライヴは東京の教会のチャペルで行われたもので、客層が、もともとの彼女のファンなのかデビュー以降のファンなのか、分からないけれど、ひどくおとなしい。曲間にも声がまったくあがらず。そういう「おとなしく観る」種の音楽性でもないと思うので残念。本場高知ではライヴはどんな雰囲気なのだろう。
しかし、生まれ育った私の感覚では、高知から彼女のような逸材が出たことが驚嘆に値すると思う。昔ならいざ知らず(かつて時代の節目節目で高知からは偉大な芸術家なり学者なりが輩出されたのだが。)高知県は完全に文化後進県といわざるを得ない。否、私が無知なのか。
ところで、高知で見かける路上弾き語りは、プチゆずや長渕の亜流のようなものばかりで、面白いものに出会った経験などないのだが、何年か前、高知大丸前でデジタルピアノ弾き語りとヴァイオリンという編成の女性2人組のミュージシャンに足を止めて聴き入ったことがある。
珍しい編成だし、パフォーマンスも曲もよかった。あるいはあれは矢野絢子と史香だったのだろうか。
DVD収録のライヴの終盤、彼女は「来てくれてありがとう、参ったか!」と言った。いやいや、ほんとに参った。