「仁淀の一滴」

矢野絢子の新シングルを聴いた。井上陽水のカヴァーで「氷の世界」である。やはり素晴らしかった。1stアルバムも名盤だったし、デビュー時に絶賛した私の耳とセンスは、間違っていなかった、と思う。
でも、3曲入りの2曲目「ゼンマイ仕掛け」はアルバム収録曲であるし、ミックスも同じ。未発表の曲を入れて欲しかった。1stアルバム「ナイルの一滴」も先行のシングル収録曲がすべて入っていて(でもこれは多分表記はないけどミックス違いのような気がする。ヴォーカルの感じがちょっと違う)、もったいなく思ってしまう。曲のストックは大量にあるはずだし、どんどん出していくべき。本人ではなくレコード会社の意向であると思うが。
しかし、その陽水のカヴァー「氷の世界」、実は原典には及ばない。矢野のヴァージョンもかなりいいけれど、グルーヴにしても、グワァーっていう世界観の奥行きというかそんなみたいなものも、何一つ全然かなわない。手持ちの陽水のCDには(ベストなので)ミュージシャンのクレジットがないけど、びっくりするようなメンツなんじゃないだろうか。陽水の唄もすごいし。矢野ヴァージョンを聴いたときには「超えてるやん」って思ったけど、聴き比べてみると、「あああ」という感じだった。自作曲や仲間の曲の時の彼女の方が全然生き生きとしている。原曲のクラヴィネット(多分)が中心になって出しているグルーヴをアコギで出そうとしているけれど、これが山口のギターだったらな、とか夢想してみる。まあ、それでもやっぱり矢野絢子は天才だと思う。ほんとに、山口洋に出会って欲しい。(2004-10-09の日記参照)
ちなみに、調べてみると、陽水版はクォータマス(Quatermass)というプログレバンドのメンバーが参加しているらしい。確かに、そんな感じ。
矢野絢子オフィシャルサイト
http://www.yanojunko.com/index_pc.html