10年目の「つづら折りの宴」

ヒロシ&リクオ

神戸の長田神社にて行われた「つづら折りの宴」を観に行ってきた。ソウルフラワーモノノケサミットのライヴを観るのは実に3年半ぶりであった。
どの出演者も素晴らしかったが、とりわけ山口洋withリクオによる「満月の夕」は今までのどの満月」よりも美しく、優しく、私はあの瞬間を生涯忘れないだろう。
関西の友人とも再会できて、その夜はB氏邸にて実に美味なるODN(おでん)etcを囲んだ宴が催され、貴重な「クロスブリードパーク」や「ディープモーニンググロウ」のアナログ盤を聴かせてもらった。そしてソウルフラワーやヒートウェイヴのファン間で続々カップル誕生中の報をいくつか聞いた。
もし1994年、偶然、ラジオ番組「不滅の地獄アワー」にてディスクジョッキー山口洋による「NO FEAR」を聴かなければ、あるいは「満月の夕」という曲がなければ、私は彼らには会っていないかもしれないし、妻と結婚することもなかったかもしれない。(まあ、ロックンロールが好きで、アンテナさえ張っていれば、いつかはヒートウェイヴやソウルフラワーに引っかかるのは必然だったかもしれないが)
ともあれ、神戸とはこれといって関係のなかった私が、震災後10年の朝を神戸にて迎えたというのは、縁というものの不思議さを感じずにはいられない。
確かにまったくの「部外者」である私が本来地元の方たちのためのイヴェントを観に行き、本当に辛い思いを乗り越えてきた人たちの中にあって、ただライヴを楽しむというのは、うしろめたさを感じるところはあるけれど、そういう部分も含めつつ多分、音楽を通じて、そうでなかった場合よりもずっと、神戸や震災について考えることは出来たと思う。