唄どもを 響かせろ

少し前の話であるけれど、何気なく高知新聞をめくっていたら、どこかで見た顔、というより、忘れえぬほどキョーレツな顔を発見した。
「日本の現状を憂えて/まっすぐな反戦歌」
という見出しで、ソウル・フラワー・ユニオンのシングル「極東戦線異状なし」の紹介記事だった。和傘をさして「不敬」に笑う(不敬、としか見えない。)中川敬の写真入りである。共同通信による記事だと思われる。
「その戦争をやめさせろ」
また「スウィングゲリラ宣言」では「平和主義」という言葉も用いられている。
かつての中川ではこんな単刀直入で直截的な表現はしなかったであろう。それは彼の中での危機感がもうかなりのレヴェルにまで高まっていることがひとつの原因であると思う。なし崩し的に、歯止めなく右傾化していく昨今のこの国はとても不気味だ。その勢力は「無関心」と「無知」を強力な味方につけていると、私は思う。
でも、中川は「さあ歩き出そう 鼻唄つれて/この風の市の笑いを連れて/あのブッシュ、シャロン(それにプーチン、小泉、石原も加えたいと思う。)みたいな類のゴロツキは/世界のあまたの唄が首根っこを押さえるぜ」と唄う。それに「インターナショナル」を「民衆の唄」として唄う。民衆の力を信じているのだ。中川は、とても理想主義者なのだろう。(ここでいう「理想主義者」は、けして悪い意味ではない。)
私などは、どうも「民衆」というもののマイナス面ばかりが気になってしまう。ファシズムの台頭は、常に「民衆」に喝采を持って迎えられたのだ。
だけれど、やはり私は中川に共感する。つまるところ「人間は悪いものじゃない」ということであろう。
まあ、あんまりキチンと論じる時間がない(寝なきゃ)ので、今回は筆をほっぽりだそう。それに詞だけでなくやはりこちらもシンプルになった作曲についても、書いていたらキリがないし。
ちなみにその記事は、切り抜いて壁に貼ってある。以前中川が登川誠仁氏とNTTコミニュケーションズの全面の広告が出た際も壁に貼ったのだが、示し合わせた訳でもないのに同じ事をした人を7人知っている。知り合う前だが、妻もその1人であった。