草葉の陰の龍馬はどんな気がしているだろう?

龍馬の生誕地のある上町(かみまち)―私の生誕地もあるが―に「龍馬の生まれたまち記念館」がオープンする。今までは龍馬の生誕地を記念する碑はあったが、施設というものはなかった。実際には生誕地そのものよりも多少場所はずれるが、当時の商家(龍馬は身分は下級武士であるが家は商家であった。このあたり土佐藩の制度は複雑なのであるが。尤も有力な商家が郷士の株を買い、身分上武家になるという事は他藩でもあったと思うが。)を復元して、内部を簡単な資料館とした小さな施設である。この「商家を復元」というのが曲者で、龍馬の実家である「才谷屋」についての間取りなどの資料は残っておらず、「一般的な商家の形」を模しているのだけであり、また内部の展示に到っては、龍馬に直接関連する遺品などはあまりなく、イラストや映像やジオラマなどで脱藩までの龍馬や江戸末期の上町付近の様子を概説するだけの、資料としてはまったく価値のないものである。龍馬の生涯を概説するのなら、桂浜に「龍馬記念館」があるし、野市町にろう人形館の「龍馬歴史館」がすでにある。
であるから、この「龍馬の生まれたまち記念館」は必要のないものとして郷土史家の間からこそ、反対の声が強かった。その上、住宅街の真ん中であるため、十分な駐車場のスペースが取れず、バスは駐車できず、普通自動車も10台程度しか停められないので集客力も疑問視されている。
そのように反対の声の大きかった施設である。高知市の財政状況を考えれば、無駄であり、必要とされる出費ではなかった。
しかし宿泊産業・観光産業としては、ネタが増えるのは歓迎できる事である。それひとつの集客が弱くても、施設の数が増えれば観光客の滞在時間増が期待でき、産業全体への効果は僅かながらあるであろう。それにその記念館の近くには旅館が二つあり、それら旅館にとってはそれも売りのひとつになると思う。一市民としては歓迎できない「公共事業」だけれど。
いずれにしても、本当に高知は龍馬に救われている。撤退したダイエーと西武のキャンプを合わせたとしても、龍馬のもたらす「経済効果」比べれば微々たるものだろう。
いかんいかん。「官能ワイルド日記」で仕事の話はしないつもりであったが。
仕事にプライベートを持ち込もうとも、プライベートに仕事を持ち込む事は許さない主義である。